レジオネラ菌をお風呂掃除で撃退して感染リスクを下げるコツと対処法

レジオネラ菌をお風呂掃除で撃退するポイント生活や暮らし

お風呂場は、レジオネラ菌が発生しやすい場所の一つです。

レジオネラ菌は、水温が20℃以上の水中に生息し、エアロゾルを吸引することで感染する可能性があります。感染すると重篤な肺炎を引き起こすことがあります。

そこで、お風呂場のレジオネラ菌を予防するためには、どのような掃除や消毒を行うべきなのでしょうか?

この記事では、レジオネラ菌の発生原因と対策、感染リスクを下げるコツについて、詳しく解説します。

この記事のポイント
  • レジオネラ菌の感染について
  • レジオネラ菌の発生原因
  • レジオネラ菌をお風呂場で撃退する方法
  • レジオネラ菌をお風呂掃除で予防するコツ

レジオネラ菌がお風呂で発生する原因とは?

お風呂に入るとき、あなたはレジオネラ菌に感染するリスクを考えたことがありますか?

レジオネラ菌はお風呂場などの温水が使用される場所での感染が多い細菌です。感染すると「レジオネラ肺炎」という深刻な病気を引き起こす危険性があり、その繁殖が問題視されています。

では、なぜレジオネラ菌はお風呂で発生するのでしょうか?その原因と対策について、詳しく見ていきましょう。

レジオネラ菌とは何か?

レジオネラ菌

レジオネラ菌とは、レジオネラ属に属する細菌の総称です。この属には約60種類の細菌が含まれていますが、人に感染するのは主にレジオネラ・ニューモフィラという種類です。

レジオネラ・ニューモフィラは、土壌や河川、湖沼などの自然環境に生息していますが、一般にその菌数は少ないと考えられます。しかし、人工的に温められた水中では、アメーバや繊毛虫などの原生動物の中で増殖し、エアロゾル(微細な水滴)として空気中に飛散します。

人がこのエアロゾルを吸い込むことで、肺にレジオネラ菌が侵入し、感染症を引き起こします。

レジオネラ菌感染症は、レジオネラ肺炎とポンティアック熱の2種類に分類されます。

レジオネラ肺炎は、発熱、頭痛、筋肉痛、呼吸困難などの症状が現れ、重症化すると死亡することもあります。ポンティアック熱は、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、疲労感などの症状が現れ、2〜3日で自然に治癒することが多いですが、高齢者や糖尿病患者などでは重症化する場合もあります。

レジオネラ菌感染症を予防するには、以下のような対策を講じることが重要です。

    • 水の温度を20℃〜50℃に保つ
    • 水を循環させ、水が滞留しないようにする
    • 水垢や藻類を除去する
    • 加湿器やエアコンのフィルターを定期的に清掃する
    • 水道管の漏れを修理する

レジオネラ菌感染症は、重症化すると死亡することもあるため、予防対策を十分に講じることが重要です。

レジオネラ菌がお風呂で増殖する条件とは?

レジオネラ菌がお風呂で増殖するためには、以下のような条件が必要です。

  • 水温:20℃以上50℃以下(最適温度は35℃~40℃)
  • pH:5.0~8.5(最適pHは6.0~7.0)
  • 有機物:入浴者の皮脂や汗などの栄養源
  • 生物膜:配管や浴槽内壁に付着したバイオフィルム(微生物や有機物の集合体)
  • 原生動物:アメーバや繊毛虫などの宿主

これらの条件が揃っていると、レジオネラ菌は急速に増殖します。特に生物膜はレジオネラ菌の保護や隠れ場所となり、塩素消毒などの殺菌剤からも守ってくれます。そのため、生物膜の発生を防止することが重要です。

レジオネラ菌に感染するとどんな症状が出るか?

肺炎の患者さん

レジオネラ菌に感染すると、レジオネラ肺炎とポンティアック熱の2種類の病気を引き起こす可能性があります。

レジオネラ肺炎

レジオネラ肺炎は、2~10日(平均4~5日)の潜伏期間を経て発症します。

主な症状は、発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感、悪寒、咳、呼吸困難、胸痛、下痢などです。重症化すると、腎不全や多臓器不全を起こし、死亡することもあります。

ポンティアック熱

ポンティアック熱は、レジオネラ肺炎よりも軽い病気です。1~2日間の潜伏期間を経て、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、疲労感などの症状が現れます。自然に治癒することが多く、死亡例は報告されていません。

レジオネラ菌は、水道水、プール、加湿器、エアコンなどの水中に存在する可能性があります。これらの水を吸い込むことで、感染することがあります。

レジオネラ菌に感染した場合、早期に医療機関を受診することが重要です。適切な治療を受けることで、重症化を防ぐことができます。

レジオネラ菌に感染するリスクはどれくらいあるか?

レジオネラ菌に感染するリスクは、以下のような要因によって異なります。

  • 感染源:レジオネラ菌が多く含まれる水やエアロゾルに接触すると感染しやすい
  • 感受性:高齢者や喫煙者、基礎疾患(心臓・肺・腎臓・免疫系)のある人は感染しやすい
  • 暴露量:レジオネラ菌の多いエアロゾルを長時間吸い込むと感染しやすい
  • 暴露頻度:レジオネラ菌に何度も暴露されると感染しやすい

これらの要因を考えると、お風呂場でレジオネラ菌に感染するリスクは決して低くありません。

特に公衆浴場や温泉施設では、多くの人が利用するために水質管理が難しく、レジオネラ菌の発生や拡散が起こりやすいです。実際に過去には、公衆浴場や温泉施設でレジオネラ菌による集団感染が何度も発生しています。

公衆浴場や温泉施設でのレジオネラ症の衛生管理については、こちらの総務省のページをご覧ください。

一般家庭の場合、お風呂場でレジオネラ菌に感染しないためには、どうすればいいのでしょうか?

次の章では、お風呂掃除でレジオネラ菌を死滅させる方法とは?について解説します。

お風呂掃除でレジオネラ菌を死滅させる方法とは?

前章では、レジオネラ菌がお風呂で発生する原因と感染するリスクについて見てきました。お風呂場でレジオネラ菌に感染しないためには、お風呂掃除でレジオネラ菌を死滅させることが必要です。

では、具体的にどのようにお風呂掃除をすればレジオネラ菌を死滅させることができるのでしょうか?以下のポイントに注意してください。

お風呂掃除をする女性

お風呂掃除の頻度とタイミング

お風呂掃除の頻度とタイミングは、レジオネラ菌の発生を防ぐために重要です。一般的には、以下のような目安でお風呂掃除を行うことが推奨されています。

  • 浴槽:週1回
  • 風呂釜:月1回
  • シャワーヘッド:月1回
  • 風呂場全体:月1回

また、お風呂掃除のタイミングは、入浴後すぐに行うことが望ましいです。

入浴後すぐに掃除をすると、水温が高く、汚れが浮きやすくなっています。そのため、レジオネラ菌の増殖に必要な有機物や生物膜を効率的に除去することができます。

入浴後すぐに掃除ができない場合は、水を抜いてから掃除するようにしましょう。

お風呂掃除に使う道具と洗剤は何がおすすめか?

お風呂掃除に使う道具と洗剤は、レジオネラ菌を死滅させる効果があるものを選ぶことが大切です。以下のような道具と洗剤がおすすめです。

  • 道具:スポンジやブラシ、スクレーパーなど
  • 洗剤:塩素系漂白剤や酸性洗浄剤など

塩素系漂白剤は、レジオネラ菌を含む多くの細菌やカビに対して強力な殺菌効果があります。ただし、塩素系漂白剤は金属やゴムなどに腐食作用を及ぼす可能性があるため、使用前に必ず取扱説明書を確認しましょう。

また、塩素系漂白剤はアンモニア系洗剤や酸性洗剤と混ぜると有毒ガスが発生する危険性があるため、絶対に混ぜないように注意してください。

酸性洗浄剤は、水垢や皮脂汚れなどのアルカリ性の汚れに対して効果的です。また、酸性洗浄剤は生物膜を分解する作用もあります。

ただし、酸性洗浄剤は金属や大理石などに腐食作用を及ぼす可能性があるため、使用前に必ず取扱説明書を確認しましょう。また、酸性洗浄剤は塩素系漂白剤やアルカリ性洗剤と混ぜると有毒ガスが発生する危険性があるため、絶対に混ぜないように注意してください。

ピンクのゴム手袋をしてお風呂掃除

お風呂掃除の手順はどうすれば効果的か?

お風呂掃除の手順は、以下のように行うと効果的です。

  1. 浴槽の水を抜く
  2. 浴槽の内壁と底面をスポンジやブラシでこすり、汚れを落とす
  3. 塩素系漂白剤や酸性洗浄剤を浴槽に散布し、10分程度放置する
  4. 浴槽を水で洗い流し、残留塩素や洗剤を除去する
  5. 風呂釜やシャワーヘッドにも同様に塩素系漂白剤や酸性洗浄剤を散布し、10分程度放置する
  6. 風呂釜やシャワーヘッドを水で洗い流し、残留塩素や洗剤を除去する
  7. 風呂場全体をスポンジやブラシでこすり、汚れを落とす
  8. 風呂場全体を水で洗い流し、残留塩素や洗剤を除去する
  9. 風呂場全体を乾拭きする

このようにお風呂掃除を行うことで、レジオネラ菌の死滅だけでなく、カビや水垢などの予防にもなります。

また、お風呂掃除の際には、換気扇を回したり、窓やドアを開けたりして十分に換気することも忘れないようにしましょう。塩素系漂白剤や酸性洗浄剤は刺激臭が強いため、換気しないと目や喉の粘膜に影響を与える可能性があります。

また、お風呂掃除中はゴム手袋やマスクなどの保護具を着用することもおすすめです。

追い炊きや二日目のお風呂はレジオネラ菌の発生に影響するか?

追い炊きや二日目のお風呂はレジオネラ菌の発生に影響する可能性があります。

追い炊きや二日目のお風呂では、水温が低下したり、有機物が増加したりすることで、レジオネラ菌の増殖条件が整ってしまうからです。特に冬場は水温が20℃以下になることもありますが、この温度帯ではレジオネラ菌は死滅せずに休眠状態になります。その後、水温が上昇すると再び活動を始めて増殖します。

そのため、追い炊きや二日目のお風呂は避けるか、以下のような対策を取ることが必要です。

  • 追い炊き:水温が50℃以上になるまで加熱し、10分以上保持する
  • 二日目のお風呂:水温が50℃以上になるまで加熱し、10分以上保持する

これらの方法で、レジオネラ菌を死滅させることができます。

ただし、追い炊きや二日目のお風呂は節水やエネルギー効率の観点からもあまりおすすめできません。そのため、可能な限り毎日お風呂掃除をして水を入れ替えることが望ましいです。

ピンク色のカビや匂いはレジオネラ菌と関係あるか?

お風呂場のピンク色のカビ

お風呂場にピンク色のカビや匂いが発生することはありませんか?これらはレジオネラ菌と直接的な関係はありませんが、間接的にレジオネラ菌の発生を促す要因になります。

ピンク色のカビはスフィンゴモナス属という細菌の一種で、水道水中に含まれる鉄分を利用して赤色素を生成します。この細菌はレジオネラ菌と同様に生物膜を形成し、原生動物と共生します。そのため、ピンク色のカビが発生すると、レジオネラ菌の増殖に適した環境が作られます。

また、ピンク色のカビは不快な匂いを発することもあります。この匂いは細菌の代謝産物や有機物の分解物によるものです。匂いが強くなるということは、有機物や細菌が多くなっているということです。そのため、匂いもレジオネラ菌の発生を示すサインとなります。

では、どうすればピンク色のカビや匂いを防ぐことができるでしょうか?以下に対策をいくつか紹介します。

  • お風呂場は常に清潔に保ち、水垢や汚れをこまめに落とすこと。
  • お風呂場の換気を良くし、湿気や温度を下げること。
  • シャワーヘッドや蛇口などの水道部品は定期的に取り外して洗浄すること。
  • ピンク色のカビや匂いが発生した場合は、塩素系の漂白剤や除菌剤でしっかり消毒すること。

これらの対策を実行すれば、お風呂場は快適で安全な空間になります。

レジオネラ菌だけでなく、他の細菌やカビも予防することができます。お風呂場の衛生管理にぜひお役立てください。

お風呂掃除の後に気をつけることは何かあるか?

お風呂掃除をした後に気をつけることは、以下のようなことがあります。

  • お風呂掃除に使った道具や洗剤は清潔に保つ
  • お風呂掃除に使った道具や洗剤は子供やペットの手の届かない場所に保管する
  • お風呂掃除後は入浴前にシャワーを浴びる
  • お風呂掃除後は入浴中に水を飲まない

これらのことに注意することで、お風呂掃除の効果を持続させるとともに、レジオネラ菌の感染を防ぐことができます。

お風呂掃除でレジオネラ菌を死滅させる方法のまとめ

お風呂掃除でレジオネラ菌を死滅させる方法について解説しました。

レジオネラ菌はお風呂場などの温水が使用される場所で発生しやすく、感染すると重篤な病気を引き起こす危険性があります。そのため、お風呂掃除でレジオネラ菌を死滅させることが必要です。

お風呂掃除では、以下のポイントに注意してください。

  • お風呂掃除の頻度とタイミングは週1回以上、入浴後すぐに行う
  • お風呂掃除に使う道具と洗剤は塩素系漂白剤や酸性洗浄剤などを選ぶ
  • お風呂掃除の手順は浴槽や風呂釜やシャワーヘッドなどを洗剤でこすり、10分以上放置し、水で洗い流す
  • 追い炊きや二日目のお風呂は避けるか、水温が50℃以上になるまで加熱し、10分以上保持する
  • ピンク色のカビや匂いはレジオネラ菌の発生を促す要因になるので、早めに除去する
  • お風呂掃除の後に気をつけることは道具や洗剤の清潔・保管、入浴前のシャワー、入浴中の水飲みなど
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