住宅の固定資産税の目安を知ろう!計算方法や軽減措置を活用した節約術

住宅の固定資産税住宅関係

この記事では、固定資産税の仕組みや計算方法を解説し、新築一戸建て住宅のだいたいの目安を掲載します。また、固定資産税を節約できるポイントもご紹介します。

固定資産税の仕組みや計算方法について知りたい方。住宅の固定資産税の目安がどれくらいなのか知りたい方。新築住宅の場合はどうなるのか?10年後はどうなるのか?節約できる方法はあるのか?

この記事では、これらの疑問に答えていきます。興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

  • 新築一戸建て住宅の固定資産税の目安
  • 住宅の固定資産税の10年後はどうなるか
  • 固定資産剤の計算方法
  • 固定資産税の節約術

住宅の固定資産税の目安を知ろう

住宅の固定資産税は、土地と建物のそれぞれに対してかかる税金で、課税標準額と税率によって計算されます。

課税標準額は、固定資産税評価額と呼ばれる価格に基づいて算出されます。固定資産税評価額は、新築住宅の場合、建築費の約50~60%が目安とされています。

税率は、一般的には1.4%ですが、市町村によって異なる場合があります。

新築一戸建て住宅の固定資産税の目安

新築住宅の場合は、建物部分について3年間(長期優良住宅なら5年間)120平米までの部分が半額になる軽減措置があります。土地部分についても、200平米までの部分が1/6になる軽減措置があります。

以上のことを踏まえて、以下の表に一戸建て新築住宅の固定資産税の目安を示します。ただし、以下の表はあくまで参考値であり、実際の固定資産税は市町村によって異なります。

また、建物部分の軽減措置は当初3年間(長期優良住宅なら5年間)だけ適用されることに注意してください。

建築費土地面積土地評価額建物評価額課税標準額税率固定資産税
2000万円100平米1000万円1200万円1667万円(※)1.4%約23万円
3000万円150平米1500万円1800万円2500万円(※)1.4%約35万円
4000万円200平米2000万円2400万円3333万円(※)1.4%約47万円
5000万円250平米2500万円3000万円4167万円(※)1.4%約58万円

※ 建物部分は120平米まで半額、土地部分は200平米まで1/6として計算

新築2000万の固定資産税:約23万円
新築3000万の固定資産税:約35万円
新築4000万の固定資産税:約47万円
新築5000万の固定資産税:約58万円

固定資産税は10年後どうなるか?

固定資産税は10年後にいくらになるかをシミュレーションすることができます。ただし、以下の点に注意してください。

  • シミュレーションはあくまで参考値であり、実際の固定資産税は市町村によって異なります。
  • シミュレーションは新築から10年後の固定資産税を想定しており、購入から10年後ではありません。
  • シミュレーションは新築時の建築費や土地評価額を基準としており、その後の変動は考慮していません。
  • シミュレーションは木造住宅と鉄骨鉄筋コンクリート造住宅の2種類を例示しており、他の構造や建物種別については省略しています。

それでは、以下の表にシミュレーションの結果を示します。

建築費土地面積土地評価額建物評価額課税標準額税率固定資産税
2000万円(木造)100平米1000万円1200万円1667万円(※)1.4%約23万円
2000万円(鉄骨鉄筋コンクリート造)100平米1000万円1200万円1800万円(※)1.4%約25万円
3000万円(木造)150平米1500万円1800万円2500万円(※)1.4%約35万円
3000万円(鉄骨鉄筋コンクリート造)150平米1500万円1800万円2700万円(※)1.4%約38万円
4000万円(木造)200平米2000万円2400万円3333万円(※)1.4%約47万円
4000万円(鉄骨鉄筋コンクリート造)200平米2000万円2400万円3600万円(※)1.4%約50万円
5000万円(木造)250平米2500万円3000万円4167万円(※)1.4%約58万円
5000万円(鉄骨鉄筋コンクリート造)250平米2500万円3000万円4500万円(※)1.4%約63万円

※ 建物部分は120平米まで半額、土地部分は200平米まで1/6として計算

住宅の固定資産税の目安を知るための計算方法

家の模型とコイン

家を持っている人にとって、固定資産税は毎年かかる大きな負担です。しかし、固定資産税には節約できる方法がいくつかあります。

ここでは、固定資産税の仕組みや計算方法を解説し、節約できるポイントを紹介します。

固定資産税とは

固定資産税とは、土地や家屋などの不動産や、事業用に使用する機械や備品などの償却資産にかかる地方税です。毎年1月1日時点で固定資産を所有している人が、その所在地の市区町村に支払います。

固定資産税は、国や地方自治体が税額を決定し、納税者に通知する「賦課課税方式」です。そのため、自分で納税額を計算し申告する必要はありません。

固定資産税の計算方法

固定資産税の基本的な計算式は、以下のようになります。

固定資産税 = 課税標準額 × 税率

課税標準額とは、固定資産の価値を表す金額で、市区町村が決めた「固定資産評価額」に各種軽減措置を適用して算出します。固定資産評価額は、3年に1度見直されます。また、土地や家屋などの不動産と償却資産では、軽減措置の内容や適用条件が異なります。

税率は、一般的に1.4%ですが、自治体によって異なる場合があります。また、都市計画区域内では都市計画税も併せてかかります。都市計画税は、街の整備や区画整理事業の費用を目的とした税金で、一般的に0.3%です。

固定資産税の詳細については、総務省のページをご覧ください。

固定資産税を節約する方法

ノートPCと家

固定資産税を節約する方法としては、主に以下の4つがあります。

  • 分筆により評価額を下げる
  • 非課税対象かどうかをチェックする
  • 特例や軽減措置を利用する
  • 各種促進税制を利用する

それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

分筆により評価額を下げる

分筆とは、1枚の登記簿(一筆)から、土地を分けることをいいます。

大きな土地が一筆であると、大通りに面している土地も内部の利便性が低い土地も同じ評価額となってしまいます。そこで、分筆することにより利便性が低い土地の評価額を下げることができます。

また、分筆することで非課税の「道路」にあたる土地も作り出すことができる場合もあります。

ただし、分筆するにあたり、登記や測量といった費用がかかるため、分筆することで減税できる額と費用を比べて、本当に分筆するべきなのかを考える必要があります。

非課税対象かどうかをチェックする

私有地であっても、公益性の高い土地は固定資産税が非課税となります。

公益性の高い土地には、公園や私道などがあります。私道は、個人が維持管理している土地を道路のように使用しているものを指し、以下のような条件(下記は東京都の例)が満たされると私道として認められます。

  • 幅が1.8m以上
  • ほかの公道に通じている
  • 不特定多数の人間が通行している
  • 客観的に道路とされるもの

なお、この私道は申告制になっており、申告しない限りは非課税となりません。そのため、所有地に私道が含まれる人は各自治体に申告しましょう。

また、私道と同様に公園も非課税となります。公園を個人で造るケースはまれですが、マンション経営をする際に敷地の一部を公園として一般開放することで、固定資産税の節税を行うといったやり方もあります。

特例や軽減措置を利用する

固定資産税には様々な特例や軽減措置が設けられており、住宅の耐震改修やバリアフリー改修、省エネ改修、新築住宅などが対象となります。条件を満たしていれば、固定資産税減額措置の適用申告書を提出することで減税措置が受けられます。

代表的な特例や軽減措置は以下の通りです。

小規模住宅用地の特例
200㎡以下の住宅用地は評価額が6分の1に軽減されます。

新築住宅等減額措置
新築住宅や建て替え住宅は3年間評価額が4分の1に軽減されます。

耐震化等減額措置
耐震基準を満たす住宅や耐震改修した住宅は3年間評価額が4分の1に軽減されます。

空家等除却等減免制度
空家や老朽化した建物を除却した場合は3年間固定資産税が免除されます。

住宅等省エネ改修等減免制度
省エネ基準を満たす改修をした場合は3年間固定資産税が半額に軽減され

固定資産税の軽減措置の例として、以下のようなケースが挙げられます。

パターン1

A社は、2023年4月に新築の長期優良住宅を取得しました。この住宅は、耐震性や耐久性に優れ、省エネルギー性能も高いものでした。A社は、この住宅に関する固定資産税の軽減措置を受けることができます。

具体的には、建物にかかる固定資産税が、竣工して初めて1月1日を迎えた年の4月から始まる年度から5年度分、1/2に減額されます。また、住宅が建つ土地についても、200m2以下の部分は課税標準額が1/6に、200m2超の部分は1/3に減額されます。

これらの軽減措置を受けるためには、A社は所管行政庁に計画を申請し、認定を受ける必要があります。

パターン2

B社は、2023年6月に生産性向上設備を取得しました。この設備は、生産工程の自動化や省人化を図るものでした。B社は、この設備に関する固定資産税の軽減措置を受けることができます。

具体的には、設備にかかる固定資産税が、取得した年度から3年間免除されます。また、法人税においても、取得価額の10%を限度として税額控除を受けることができます。

これらの軽減措置を受けるためには、B社は経営革新等支援機関の事前確認を受けた上で市区町村から計画の認定を受ける必要があります。

パターン3

C社は、2023年8月に耐震リフォームを行いました。このリフォームは、建物の基礎や柱などの構造部分を補強するものでした。C社は、このリフォームに関する固定資産税の軽減措置を受けることができます。

具体的には、リフォームした部分にかかる固定資産税が、翌年度分1/2に減額されます。また、法人税においても、リフォーム費用の10%を限度として税額控除を受けることができます。

これらの軽減措置を受けるためには、C社はリフォーム費用や内容などを証明する書類を添付して確定申告書を提出する必要があります。

以上のように、固定資産税の軽減措置は様々な条件や手続きがありますが、中小企業や個人事業主にとって大きな節税効果が期待できます。

設備投資やリフォームなどを計画している方は、自分の事業や資産に適用できる制度がないか確認してみましょう。

計算機

各種促進税制を利用する

固定資産税の節約方法の最後に、各種促進税制を利用する方法を紹介します。これらは、国や自治体が特定の目的や地域における投資や活動を促進するために設けた税制で、固定資産税の減額や免除などの優遇措置が受けられます。

代表的な促進税制は以下の通りです。

地方創生促進税制

地方創生に資する事業を行う中小企業や個人事業主に対して、固定資産税や法人税などの減免措置が適用されます。地方創生に資する事業とは、地域の特色や資源を活かしたもので、以下のようなものがあります 。

地域資源活用型事業:農林水産物や観光資源などを活用した事業

地域課題解決型事業:高齢化や人口減少などの課題に対応した事業

地域連携型事業:地域住民や行政と連携した事業

地域創出型事業:新たな価値や魅力を創出した事業

都市再生特別措置法

都市再生に関する計画を実施する場合に、固定資産税や都市計画税などの減免措置が適用されます。都市再生とは、都市機能や景観、環境などを向上させることで、都市の魅力や活力を高めることを目的とした取り組みです 。

都市再生緊急整備地域:災害復旧や防災対策などを急ぎ実施する必要がある地域

都市再生整備地域:歴史的・文化的価値が高い地域や国際競争力が高い地域

都市再生準整備地域:都市再生整備地域に準ずる地域

災害復興特別措置法

災害によって被害を受けた場合に、固定資産税や都市計画税などの減免措置が適用されます。災害復興特別措置法は、大規模な自然災害が発生した場合に政府が指定するもので、以下のようなものがあります 。

指定被災地:被災者生活再建支援法に基づいて指定された被災地

特別復興区域:東日本大震災等によって被災した区域

特別復旧区域:平成30年7月豪雨等によって被災した区域

以上のように、各種促進税制は、固定資産税の節約だけでなく、事業の発展や地域の活性化にも貢献できる制度です。

自分の事業や資産が対象となる可能性がある場合は、各自治体に問い合わせてみましょう。

住宅の固定資産税の目安のまとめ

  • 固定資産税とは、土地や家屋などの不動産にかかる地方税である
  • 固定資産税は、課税標準額と税率によって計算される
  • 課税標準額は、固定資産評価額に各種軽減措置を適用して算出される
  • 固定資産評価額は、新築住宅の場合、建築費の約50~60%が目安である
  • 税率は、一般的に1.4%であるが、自治体によって異なる場合がある
  • 新築住宅の場合は、建物部分について3年間(長期優良住宅なら5年間)120平米までの部分が半額になる軽減措置がある
  • 土地部分についても、200平米までの部分が1/6になる軽減措置がある
  • 固定資産税を節約する方法としては、分筆や非課税対象の確認、特例や軽減措置の利用、各種促進税制の利用などがある
  • 分筆とは、1枚の登記簿から土地を分けることで、利便性が低い土地の評価額を下げる方法である
  • 非課税対象とは、公益性の高い土地で、公園や私道などが該当する
  • 特例や軽減措置とは、住宅の耐震改修やバリアフリー改修、省エネ改修、新築住宅などが対象となり、条件を満たしていれば申告することで減税措置が受けられるものである
  • 各種促進税制とは、国や自治体が特定の目的や地域における投資や活動を促進するために設けた税制で、固定資産税の減額や免除などの優遇措置が受けられるものである

 

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